裃のお勉強部屋

物理や数学のおぼえがき

物理のための微分形式練習(序文)

まえがき~うらみとつらみ~

なんでこんな稿を起こしたかというと、周りが微分形式微分形式と、微分形式での記述をせかしてくることにある。
なんで慣れ親しんだ記述の方程式を微分形式で記述するのだろう。
確かに便利な略記法だときいてはいるが、その略記法そのものの内容が難しく、とっつきにくく感じたのだ。

とっつきにくい理由は単純で、微分形式で記述された文献や教科書は、微分形式を知っている人間が、自分の書きたい主題や結論に急ぐために仕方なしに微分形式の項目を書いているからであろう。
微分形式って何だろう、便利って聞くけど、どうやって使うかわからないしなぁという学生に向けて書かれていないからである。
一方で微分形式とは何ぞやということを学ぼうとするのに数学の本を使うと、数学の人は数学の人で、不変的に書けることにばかり目が行っており、泥臭い具体的な汚らしい計算に触れようとしない。
確かに「君ら」からしたら定義と例が一つあれば十分で、一を聞いて十知れるのかもしれないが、私はそうでなかった。

微分形式が本当に単純にかけて楽なモノならば、抽象的な議論だけに終始せず、手で書いたりたくさんの例を出したりして、もっと高校レベルにだって落とし込めるはずである。
否、無論微分形式を使うような数学、物理を高校では扱わないので不要なのは事実だ。
しかし、大学物理の入門書くらいなら微分形式で書いて誰でも「ふんふん、そこがこうなってこうなるのだな」とできるようになるんじゃないの? と思うのだ。
それができない理由は、結局必要とされていない、需要が無い、ということに尽きる。

なんで需要がないかというと、微分形式を一から教えたりするだけの労力より、知っている記法で書いたほうが学部レベルや工学などの応用では楽ということがある。
所詮略記法である。略記しなければめんどくさい、長い式になるということだ。
きれいな形で書く必要があるほどぐちゃぐちゃした式は凡そ理論物理をやっている人間の前にしか出てこない。
そんな人間の中で微分形式に苦しむ人間なんてたぶん1000人もいないんじゃないかな?
そういうわけでそもそも知っている現象を微分形式で泥臭く記述していく教科書が不足している。
なるほど、数学者と同じように一をきいて十知れる人にはそんな本はいらないし、研究の分野はそういう人でないと門前払いということなのだろう。
私は落第者である。

しかし、せっかくそんなに便利便利というならやっぱり研究界隈だけでなく、一般的な修士の学生や比較的意識のある学部生までもうちょいと広めたくなる。
加えて私自身が微分形式をちゃんと使いこなせていなかったので、勉強もかねて具体的に泥臭く書く稿を起こしてみようと考えたのだ。
なので、数学者が読むような稿ではない。
むしろ数学者はこんな稿読んじゃだめだよ。君らは殿上人であってほしい。

せっかくそういう手を動かして勉強する、高校以来の懐かしいスタイルで学習をするなら、くどいぐらい計算をつけて、練習するべきだろう。
そもそも我々は小学生以来計算ドリルなどで計算力を培ってきた。
中学も高校もただ教科書を読むだけでなく、塾その他で問題集をもらったり、自分で○を買ったりしてたくさん練習して身に着けてきたのである。
なら、そういうことをすれば自分だって微分形式が使いこなせるようになるだろう。
そういう安易な発想で稿を起こすことにした。
なので、このスタイルの勉強に慣れている高校生も微分形式が使えるようになるはずである。
ま、高校生には使いどころがないんだけどね。まず電磁気学を勉強してみるんだな。

本書の前提知識は、とりあえず最初の記法のところにまとめてあるとおりで、ひとまずMaxwell方程式を知っていてほしい。
こいついきなり高校生にはハードルの高いことを言いやがる。
まあ、Maxwell方程式はベクトルと微分の集合体みたいなものだし、書き下して積分していけば高校物理履修者なら知っている法則にだいたい帰着するはずだ。
そのあたりのまとめは大学で物理を学ぶ人は避けて通れない道なので巷にもたくさん本や動画があふれている。
そういうのを見て適当に勉強しましょう。