裃のお勉強部屋

物理や数学のおぼえがき

積分はイメージしやすいけどイメージしにくい。

数学の話もします。数学と言いますか、算数と言いますか。
算数と申しますのは、私がいた研究室の教授が、
積分がかけちゃえば後はもう算数ですから」
とか
「幼稚園で習ったと思いますが」
と言いながら微積での計算をしていたからである。
ヤツらからすると、微積分のように計算ができるものは全部算数なんでしょう。
僕はまだ数学の域には達してません。
(だって物理専攻だもんね!)

冗談はさておき、微積分のはなし。
微分積分は現状高校2年、数学2でやりますね。
普通は微分が先、積分はその後で学習すると思います。
ただ、私は自学で微積は学んじゃって、しかもよりによって積分からやったんです。というのも理由は一つ。

「そこの面積を求めたい」

そう、積分の一番の応用はというと、グラフ上の関数の織成す面積をあの手この手で求められるということ。すごいじゃん。

そう思って積分から勉強したのです。
で、微分はなんで後にしたかっていうと、
「傾き? そんなのわかって楽しいの?」
この当時は物理に興味があったわけではないんですね。

教科書を紐解いてバラバラにしますと、微分は中3の数学で慣れ親しんだ平均の変化率をどんどん細かくして接線の傾きにしてしまうというもので、まずイメージ先行で、そのイメージを具現化するべく極限操作を教えます。
(まあ無論数2だと極限なんかより結果のベキ関数の公式覚えるだけで事足りるんですがね)

じゃあ積分はというと、なぜかそうではない。
まず微分の逆演算をするよ、という話をして、それから不定積分をやって(Cをつけ忘れてテストでひどい点を取り)、ようやく定積分で面積が計算できます。
つまり、イメージがどうも後回しなんですね。

だからか、塾講をしてる時も、学校で積分が分からんという話はよく聞きました。

じゃあ積分をせめて面積のイメージからお話できないのかちょっと考えてみましょう。

まず、なんらかの与えられた関数$f(x)$と、その関数の0から$x$までの面積を表す関数$F(x)$を用意しましょう。$F$がどんな形なのかは知りません。しかしひとまず誰かが$x=a$まで$f(x)$のつくる面積を求めてくれたとします。

ここで$f(a)$までの面積が$F(a)$なんだとして、もう少し先、$f(a+h)$までの面積を求めるとします。$f(a)$までの結果しか知りませんが、ほんの少し先までの面積なら、ひとまず$f(a) \times h$くらい細い短冊を$F(a)$につければそんなにずれてないだろうと思います。(あえて掛け算を$\times$にしましたが、見やすさのためです。外積だと思って心踊った? 残念!)
つまり、$f(a+h)$までの面積を表す$F(a+h)$はだいたい、
\begin{eqnarray*}
F(a+h)=F(a)+f(a) \times h
\end{eqnarray*}
くらいでいいんでしょう。

さて、ここでこの式を変形します
\begin{eqnarray*}
f(a)\times h &=F(a+h)-F(a)\\\
f(a) &= \frac{F(a+h)-F(a)}{h}
\end{eqnarray*}
もうやりたいことがわかる人には分かりそうですが、上の式はあくまで"だいたいそう"なので、あんまり離れた$h$だと死んでしまいます。そこで、$h$は小さいんだと思って、なるべくなるべく小さく、ほとんど0の気分にまでしてやります。そうするとこれは、微分の定義式
\begin{eqnarray*}
g'(x) &=\lim_{h \to 0} \frac{g(x+h)-g(x)}{h}
\end{eqnarray*}
と比べると、
\begin{eqnarray*}
f(x)=F'(x)
\end{eqnarray*}
ぽいぞ、とわかります。つまり、面積の関数$F(x)$は微分するとその面積を書いてた関数$f(x)$になるわけです。
じゃあそこんところひっくり返して、$f(x)$の面積は微分の逆計算で出せるんだね! ということになるわけですな。
ところがどっこい、微分は定数が落ちる分一対一に対応しないのだよとか、それゆえCをつけないと怒られるんだよとか、区間決めれば別にいいよってのはそこから話せばいいのかなと思います。

じゃあなんでこの教え方をしないのか。
この面積の区切りかたは数3でやります。区分求積法、リーマン流の和なんですが、こいつの収束を考えないといけないのが問題なんだと思います。
上の面積の和は$f(a)$で短冊を作るか、$f(a+h)$で短冊を作るかで若干結果が違うはずです。
このどちらで面積を付け加えても、$h\to 0$で同じ値にならないと、面積としていかんわけです。
こういうことを考えないといけないから数2ではあんまり述べず、「逆演算」だけ推すのかなぁ。


以下余談。

ちなみにこの和の取り方、関数の右肩をとるか左肩を取るかなので右肩和、左肩和と呼ばれることもあるのですが、コンピューター上でグラフの面積を計算するのも大雑把にはこれでやります。
これだとあまりに大雑把なので、右肩と左肩の平均を取る、つまり台形の面積を取る方法で計算することもあります。もうすこし精度良くするために、見た目「それでいいの?」と思われそうですが、二次関数をペタペタ貼り付けて面積を計算する手法もあります。
あと個人的に感動したのはガウス-ルジャンドル積分なんですけど、その話はまたいずれ。

感動はさておき、ガウス-ルジャンドルも最強ではなく、ぐにゃぐにゃ振動してる関数では役に立たないことが多いイメージです。個人的には台形和が比較的安心してぐにゃぐにゃに振動してる関数もそれっぽい面積を出してくれるかなと思います。

なんか大雑把すぎて数学の人からボコボコにされそうだな……収束するかどうかってほんとめんどくさいんですよ……。